香りで巡る風景~ブレンドのすすめ~2月編
京都・北野天満宮の菅原道真公が愛した梅
「香りで巡る風景~ブレンドのすすめ~」と題しまして、毎月日本の風景をイメージした精油のブレンドをご紹介いたします。
2月に入れば、暦の上では春になります。冷たい風が肌をさすような日も、陽ざしは徐々に力強くなり、寒く長い冬の終わりがやってきたことを感じます。
京都市北区に、菅原道真公を祀った北野天満宮があります。
北野天満宮は、菅原道真公(菅公)を御祭神としておまつりする全国約1万2000社の天満宮・天神社の総本社です。
入試合格・学業成就・文化芸能・災難厄除祈願のお社として広く信仰されています。
皆様の中にも、入試合格祈願で訪れられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
菅公は、平安時代の貴族で学者でした。
宇多天皇に重用され、寛平の治を支えた一人で、醍醐朝では右大臣まで上り詰めましたが、無実の罪で京都から太宰府に左遷されたそうです。
その時に、自邸の梅の木に
”東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ”
(わが家の梅の花よ。東風が吹いたら、私のいる大宰府まで匂いを届けておくれ。主人がいないからと言って、春を忘れてはならないよ)
と歌で別れを告げました。
そして、菅公を慕った梅の木は、一夜にして太宰府まで飛んで行ったと伝えられています。
何と健気な梅でしょうか。主を追って九州まで飛んでいくとは。
地元の人々は、北野天満宮のことを親しみを込めて「天神さん」と呼んでいます。
天神さんには、菅公ゆかりの梅50種約1,500本があり、花の時期には約2万坪の境内一円で紅白の梅が咲き競います。
2月上旬ごろには、梅苑の花の庭が公開されます。
そこでは、白梅、紅梅、一重、八重ととりどりに咲く梅の見学ができ、お茶とお菓子をいただきながら梅をゆっくり鑑賞できる茶屋も開かれます。
さらに、毎年2月25日は梅花祭野点大茶湯が開催され、天神さんの近くの上七軒の芸舞妓さんたちがお茶を点ててくれます。
この時期の京都のお楽しみ、香しい梅苑の梅を見に行かれてみてはいかがでしょうか。
紅梅の梅やロウバイがとりどりに咲く梅苑で、春の始まりに心がなごやかになっていくのを感じましょう。
今月は、春の始まりを告げる天神さんの梅苑をイメージしたブレンドをお届けします。
まだひんやりとした冬の気配が残る京都で、青く澄んだ空の下に、天神さんの神様のお使いの牛が鎮座し、その傍らには梅の花がほころんでいます。
甘く上品な梅の香りが、澄んだ空気の中、漂ってきます。
オレンジスイート Citrus sinensis
甘くジューシーな香りは、日本人にとって親しみやすい香りです。精神的なバランスをとる精油の一つです。
ローズオットー Rosa damascena
600種類以上の芳香成分が入っているローズオットー。女性にとって有益な精油の一つです。
フェンネル Foeniculum vulgare var.dulce
深く甘さの中に独特のグリーンさもある香り。古代エジプトやギリシャ、ローマ帝国、インドなどで料理や医療にはかかせない植物です。
【比率】
オレンジスイート 3 :
ローズオットー 1 :
フェンネル 0.5
【このブレンド精油の使い方】
今月は、2種類の香水のレシピをご紹介します。
◎あなただけの香り 練り香水
お気に入りの精油をブレンドしてオリジナルの練り香をつくることができます。華やかなローズ・オットーと甘くジューシーなオレンジスイートの香りに隠し味程度のフェンネルを使用した練り香水のレシピをご紹介します。
レシピはコチラ→https://www.aromastore.jp/html/page92.html
※レシピの精油をこのブレンドに替えて作製しましょう。
◎花の香りを楽しむ手作り香水
お気に入りの香水はありますか。市販のものは合成香料を使っていて、香りが強く感じて苦手だと言う方もいらっしゃるかもしれませんね。フローラルな香りの精油を使った香水を作ってみましょう。
レシピはコチラ→https://www.aromastore.jp/html/page112.html
※レシピの精油をこのブレンドに替えて作製しましょう。
日が短いせいか、なんだか気持ちも落ち込みがちなこの冬に、この華やかな香りのブレンドで気分を上げて、乗り切りましょう。
思い出(記憶)と香りはリンクすると言われています。
風景を香りでデザインすることで、思い出が更に深まりそうです。
次回の「香りで巡る風景~ブレンドのすすめ~」は、清らかな空気に心身が浄化されそうな風景。
乞うご期待!